「文末表現のバリエーションを増やしたい」「表現に富んだ文章を書きたい」と悩んでいませんか?
小説などの文章は、文末表現の仕方によって印象が大きく変わるものです。洗練された印象を与え、読みやすい文章にするためにも、文末表現の工夫は必要ですね。
また、豊かな文末表現を扱えると執筆もしやすくなり、より楽しめるようにもなるのではないでしょうか。
そこで、この記事では文末表現を使って伝わる文章を書く方法について解説します。
文末表現のバリエーション&例一覧
それでは、さっそく文末に使える表現にはどんなものがあるのか見ていきましょう。
ここでは、「ですます調」「である調」に分けて一覧で文末表現を紹介します。
「ですます調」「である調」とは?
ですます調・・・文章の終わりに「~です」「~ます」などの語を使う文体
である調・・・文章の終わりに「~である」「~だ」などの語を使う文体
つまり、「ですます調」「である調」は、「~です」「~でした」などの丁寧語を使って書く柔らかい感じの文体と、「~だ」「~である」といった語を文末に使う硬い印象の文体のことですね。
どちらの文体を使って文章を書くかはケース・バイ・ケースですが、どちらの文体を使うにしても、さまざまな表現の仕方があるので、その表現をうまく使い分けることで、バリエーションのある文末表現を実現することが可能です。
「ですます調」「である調」の表現例
「ですます調」「である調」それぞれの文末表現一覧には、次のものがあります。
ですます調
- ~です(~でした)
- ~します(~しました)
- 〜かもしれません
- ~があります
- ~になります
- ~と言えます
- ~と考えられます
- ~と思います(~と思いました)
- ~ではないでしょうか
- ~することはありません
- ~しないといけません
- ~でしょう
- ~してください
である調
- 〜だ(~だった)
- ~する(~した)
- ~である
- ~だろう
- ~ではない
- ~と思う
- ~ではないだろうか
- ~かもしれない
- ~に違いない
- ~に過ぎない
- ~すらない
- ~と考える
- ~ではなかった
- ~のはずである
- ~のはずだ
- ~なのだ
- ~らしい
- ~でないといけない
- ~するべきだ
文末表現を工夫することの効果
次に、文末表現を工夫しながら文章を書く効果について解説します。
文末の表現を工夫することの最大の効果は「文章が単調になるのを避けられる」ことです。
単調な文章は決して読みやすいとは言えません。そんな書き方になるのは避けたいところです。
では文章が単調になると、具体的にどんなデメリットがあるのか例文で見てみましょう。
同じ文末が繰り返されている文章例
昨日駅でバッタリ高校時代の同級生に会った。彼に会ったのは卒業以来数年ぶりだった。とはいえ、彼は当時とはあまりにも雰囲気が違っていた。そのせいか、声を掛けられてもしばらく誰だか分からなかった。高校時代の彼は、地味な印象のパッとしない奴だった。なのに、今は独立して成功しているなどとと言っていた。それを聞いて、うだつの上がらないサラリーマンの自分がひどく情けなく思えた。
たとえば、上記の文章は文末をすべて「〜だった」で締め括っていますが、どこか違和感のようなものを感じないでしょうか?
おそらく、文末が単調だと、以下のような印象を受けるのではないかと思います。
文末が単調になるデメリット
- 淡々とした文章になり過ぎて、内容が頭に入りにくい
- 推敲されていない、適当に書いた文章という印象を受ける
- 全体的に素人っぽい感じがする
つまり、「文末が単調」というだけでも、読む側にとっては読みにくい、分かりにくい文章になってしまいますし、書き手への印象も下がってしまいます。
ですので、人に読んでもらう文章、特に読み手に負担が掛かる長文を書く時には、文末表現をバリエーション豊かにすることを意識するのは大切なポイントの一つです。
バリエーションに富んだ文末表現をするための考え方
では、文末が単調にならないようにするためにはどうするかについて見てみます。
同じ文末の繰り返しで単調になるのを防ぐには、当然ではありますが、「さまざまな表現を織り交ぜて使い分ける」ことです。
文章を書く時には、できるだけバリエーション豊かな表現を活用しましょう。
では具体的にどうするのか、次にそのためのコツを解説します。
前後のバランスを考えて文末表現を選ぶ
まず、バリエーション豊かな文末表現をするためのコツは、「前後の文章のバランスを考えて表現を選ぶ」ことです。
つまり、文末表現はその文章単体で考えるだけではなく、その前後にある文章とのバランスで表現を選びます。
たとえば、以下のような文章があったとします。
例文
つまり、社会人になってからする勉強は、その時の現実に対する不満や改善したいことがあって、その解決法としてするものだという意味合いが強いのだ。]・・・①
今目の前にある「不満のある現実」を「なりたい自分」や「憧れの生活」に変えるための、一番確実な手段が「勉強する」ということなのだ。]・・・②
あるいは、特別な不満はなくても、なりたい自分や叶えたいことがあって、それを実現するために勉強をすることもあると思う。]・・・③
これは、「買い物をする」ことと似ていると思う。]・・・④
というのは、何かものを買う時というのは、「もっと毎日の生活を豊かなものにしたい」「つまらない毎日を変えたい」など、何か実現したいことがあってするものだと思うからだ。]・・・⑤
上の文章では、文末に「~なのだ」や「~と思う」という表現が立て続けに使われていますね。
もしこの文章の文末をより読みやすく修正するとしたら、①②の文末、③④⑤の文末で「〜なのだ」や「~と思う」が連続して使われないようにできないかをまず考えます。
たとえば、①の文章が「意味合いが強いのだ」ではなく「意味合いが強い」と締めくくることもできますね。そして、②の文章なら「一番確実な手段が「勉強する」ということである」と締めくくることもできます。
このように文末に使える別の表現があるはずなので、それを見つけて前後の文章とバランスが良くなるように考えて修正していきます。
表現のニュアンスの違いを考えてみる
次に、文末表現をバリエーション豊かなものにするためのコツは、「表現のニュアンスの違いに気を付ける」ことです。
文末の表現にはさまざまなものがあり、うまく工夫して文末に変化をつけることはできます。
とはいえ、闇雲に変化を付けた表現を当てはめるようとするのではなく、「その文章で言いたいことを的確に表せる表現を選ぶ」ことを意識しましょう。
たとえば上の例文③の文章は、文末が「~と思う」になっています。
あるいは、特別な不満はなくても、なりたい自分や叶えたいことがあって、それを実現するために勉強をすることもあると思う。
この文末の「思う」という表現は、書き手の「個人的な考えや推測を表している」ものと言えますね。
これを他の文末に修正するとしたら、たとえば「〜に違いない」「〜のではないか」「〜はずだ」「〜だろう」などと言い換えられそうですが、この文章では「〜だろう」を選ぶと良いと思います。
あるいは、特別な不満はなくても、なりたい自分や叶えたいことがあって、それを実現するために勉強をすることもあるだろう。
文末を「〜だろう」とすると、書き手が「一般的な事実としてそうと推測している」というニュアンスに近くなりますね。
どちらも推測を表しているとしても、この場合は、単なる個人の考えを一方的に述べる文章ではなく、読み手への共感を意識して書いている文章なので、「~と思う」とするよりも「~だろう」を使うほうが適切といえます。
文末の表現を使う時には、文章が表す意味の違いを意識しながら、文末にどんな表現を使うかを選ぶと良いです。
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まとめ
POINT!
- 文末には「ですます調」もしくは「である調」で統一しながらさまざまな表現を活用できる
- 文末表現を工夫することで、単調な文章になるのを防ぐことができる
- 前後で文末に同じような表現が続いたり、似た表現を多用すると読みづらくなるので、表現が重ならないように注意する
- ただし、前後のバランスだけを考えるのではなく、その文章で言い表したいことがより伝わりやすいように細かな意味の違いも踏まえて言い回しを選ぶ
以上、文末表現の例と文末表現を工夫する効果について解説しました。
小説をはじめ文章を書く時には、文末を工夫するだけでも仕上がった文章の印象は良くなるので、特に意識しながら文章を推敲してみてください。